samansa59’s blog

訪問看護の仕事の中で感じたことなど自由に書いていきます。

在宅を整えるとは

80才代 脳梗塞でほぼ寝たきり、老老介護で妻も高齢であるため、ケアマネジャーは介護負担の軽減のため、週5日のデイサービスを導入した。

しかし、入退院を繰り返し少しも安定した状態を維持できなかった。

病院MSWから訪問看護の依頼があった。

誤嚥性肺炎を繰り返し、尿路感染の起こしていた。

何が問題だったのか?

デイサービスに行けば、入浴もできる・食事もできる・他者とも触れ合える・介護する家族はその間好きなことができる。

しかし、デイサービスから帰宅すれば、夜と朝の食事の介助、オムツ交換など介護しなければならない。この介護の部分に問題があった。

高齢で円背のある妻は、さほどベッドを上げず食事を食べさせていた。水分ではむせるためとろみをつけるように言われていたが、めんどくさいため行っていなかった。

寝る前、入れ歯を外すことなく、口腔内は食べかすでいっぱい、入れ歯自体黒カビが生えていた。お茶を飲ませてもむせて、本人が嫌がるため結局水分摂取量がかなり少なかった。

訪問看護で整えたこと。

誤嚥の少ない体位のため、ベッドをどこの位置まであげるのかを柵にテープをつけ印した。(電動ベッドでも角度がでるリモコンがあると便利)顎を引いた姿勢を取らせるために後頭部にバスタオルをはさむ方法を説明。

右半身不全麻痺があるため、左側に少し傾いた姿勢(健側を下にする)をとる。

食べる前にパタカラ体操(ぱぱぱ、たたた、かかか、らららと発音し舌を出す訓練)を行うように説明し、訪問の度に指導した。

水分にはとろみをつけるが、どのくらいのお茶にどれくらいのとろみ剤をいれるのかをわかりやすい方法を検討した。コップに印をつけた。使いやすいステイックタイプのトロミ剤を使った。また、ゼリー状の水分もあることを説明し購入して頂いた。

寝る前には必ず入れ歯を出し、洗浄してポリデントにつけること。含嗽(うがい)が難しいので口腔用テイッシュで口の中をぬぐいとる方法をとった。

妻も高齢であり、なかなかすぐには習得できなかったが、根気よく説明し、一緒に行い

できたときは褒め、一緒に喜こんだ。

熱を出さなくなる、水分摂取がすすみ尿量も十分でるようになる。体調が整うのは妻の介護のおかげだよと訪問する度に話した。

妻の行動が変わる。看護師に言われなくて体位を整え、パタカラ体操してから食べさせるようになる。入れ歯の手入れも怠らない。最初は入れ歯を作り直すお金がないと言っていたが、毎日きれいな入れ歯を見ていると、黒カビ部分が気になりだして、妻本人から入れ歯を作り直すと言い出した。訪問歯科診療を依頼した。

排便も腹部マッサージや緩下剤の調整、適宜摘便などで確実に出すようにした。

看護師が横で支え、端座位を毎回とらせた。庭の景色を見ては目を細めた。座ることで各段に顔の表情が変わる。

体調が整えば、デイサービスも休まず通える。入院もしなくなった。

安定した状態が続くことー普通の生活が長く続くこと=在宅を整えること

家族の持てる力を見出すことも大切。

患者さんも家族にも笑顔が戻った。