samansa59’s blog

訪問看護の仕事の中で感じたことなど自由に書いていきます。

家族の悲嘆

40代子宮がんで長い闘病生活を経て永眠された。

夫は生前「おれがやさしい言葉をかけたら、あいつはだめになってしまう」と言い、

妻に対して「自分で動かないと寝たきりになる」「この痛み止め使ったら、眠気が強くなるから使ったらだめだ」と、ことあるごとに大きな怒鳴り声をあげていた。

主治医や看護師の病気や痛みに関しての説明に耳を傾ける余裕がなかった。

亡くなられてしばらくして訪問した。

夫はげっそりと痩せてしまっていた。母親は「食事を食べないんです。何とか言ってやって下さい。」食べ物が喉を通らないというより、ムカムカして食べれないと言われた。そして、日に日に増す後悔の念に苛まれていると・・・

遺族の悲嘆はさまざまである。正常な悲嘆にならず、日ごとに悲観的落ち込みがひどくなる場合は病的悲嘆となる。

「生きるために食べて下さいね。奥様はすべてを受け止めておられましたよ」

夫は深々と頭を下げた。 

ご家族にどのような言葉かけをすべきか、いつも悩む。