医師の都合
「先生こんなもの置いて行った。家では死ねないかもしれない」
そこには病院あての紹介状が置いてあった。
「A先生。患者さんも家族も家で最期を迎えたいと思って頑張ってきたんです」
「連休旅行に行くんだよね。日本にいないから。何かあったら、救急車で病院運んで」
患者さんのことを何と思っているのか・・・心の中で思った。
「B先生と懇意にされていますよね。B先生に看取りお願いしていって下さい」
ステーションに戻り、患者さんの経緯をまとめ、患者さん宅の地図を持ってB先生
のもとへ急いだ。
「さっき、A先生から電話あったよ」
「B先生、ご無理言って申し訳ありません。どうかよろしくお願いいたします」
私は、先生に深々と頭を下げた。
B先生は、「亡くなった時に突然行っても誰だかわからないから、今日顔出しておくよ」と言って、患者さん宅に挨拶に行って下さった。
予想通り、連休のまっただ中、患者さんは永眠された。
B先生に看取って頂いた。
患者さんの最期。在宅では医師の都合で決められるのか・・・