姑の介護
同居している姑の認知症の症状は、買い物でお金を支払う時に、1000円札しか出さないことからはじまった。キッチンペーパーを押入れ半分占拠するほど出かける度に買ってきた。
料理の手順を忘れてしまい、カレーライスを作ると、ルーまで入れて最後の仕上げに生肉を切らずに入れた。
主治医に症状説明して検査。脳血管性認知症であった。
私も主人も働いている。長時間デイサービスを19時まで利用した。夕食も出して下さるのでとても助かったが、帰宅後、姑は私たちと一緒に2回目の夕飯を食べた。
便のついたおむつをたんすに隠す。びたびたに濡れたタオルを引きずって廊下を歩く。
仕事で疲れている私は、頭の中で認知症の周辺症状であるとわかっていたが、「私への嫌がらせ?」と思ってしまう。身内の介護は感情が入り、冷静でいられない自分がいた。
夜19時に私たちが帰宅できない時もでてきたので、ショートステイを利用するようにした。施設では、トイレの便器の中でタオルを洗う、徘徊をする、食事を認知できずスプーンでぐるぐる回しているだけで口に運ぶことができなくなった。そんな姑に施設のスタッフは優しく接して下さった。とてもありがたかった。
部屋でカーテンの開け閉めをしているとき転倒、骨折。
病院で大腿骨骨頭置換術を受け、しばらく安静臥床が続き、家族の顔もわからなくなった。そして肺炎併発。3か月後、永眠した。
「私看護師だけれど、何にもしてあげられなかった」
「そんなことはない。自分が何もわからない中、よくやってくれた」と夫は言った。
今年 3周忌を迎える。