使い捨てホッカイロ
90才の母親と70代の息子さん二人暮らし。バブルの時は1日で200万円使ったと訪問の度に言われていた息子さん。事業に失敗し、アパート住まい。
暖房がないため、毎年冬は寒さとの我慢くらべであった。
リウマチを患う息子さんは重たい物を持てず、灯油を使ったストーブが使えない。金銭的に非常に厳しく、電気ストーブも使えない。
冬は外より寒い時があり、訪問した看護師も防寒具を脱ぐことができなかった。
木綿の重みのある布団のため、寝たきりの患者さんの両足指には褥瘡ができた。
段ボールで離被架を作り、布団の重みを軽減した。患者さんは使い捨てのホッカイロを握りしめ暖をとる。嚥下障害があるため、エンシュアリキッドの処方を受け栄養確保していたが、息子さんも食べる物がない時は、母親の飲み残したエンシュリキッドが食事となった。息子さんのリウマチの悪化で、生活保護申請。
家賃の安いアパートへの引っ越しが必要となり、引っ越し先管轄の訪問看護ステーションからサービスを受けることになる。「世話になったな。ありがとう」
丸くなった背中がとても寂しげだった。