看護連携
80才代胃癌末期の患者さんの退院時共同指導に、病棟医、病棟看護師、退院調整看護師、薬剤師、理学療法士、癌性疼痛認定看護師、在宅医、訪問看護ステーション、ケアマネジャー、ヘルパー、福祉用具業者が集まった。
妻は「こんなに大勢の方にお世話になるんですね。本当にお願いいたします」とお辞儀をされた。
妻も80才代。自分のことで精いっぱいの状態ではあるが、夫のために在宅を選んだ。
退院日は息子さんの仕事がお休みである土曜にとなった。
私はどんな時も退院日に最初の訪問を入れることにしている。最初が肝心であることを肌でかんじているからだ。
今回も疼痛コントロール、食事内容、急変時どうするかなどいろいろ不安を抱えての退院であった。共同指導で、ある程度の方向性はでるものの、理解しているのは医療関係者やケアマネだけであって、患者家族は、まだこれからどのような在宅生活が待ち構えているのかわからない状況で退院する。退院調整看護師が「これで安心して家に帰れますね」と会議をまとめても、「家に帰ってみないとわからない」と家族が返事する。
そのような不安を解消するのが、退院日の訪問である。
退院日。「お帰りなさい。家はどうですか?」と聞くと、ほとんどの患者さんが
にっこり笑って「そりゃー家はいいですよ」と言われる。
退院時の処方薬を確認、きちんと服用できるようにする。レスキュードーズを患者さんお手の届く場所に設置する。トイレの場所の確認。ペットボトルをベッドサイドに置き、いつでも水分摂取ができるようにする。妻はどこで就寝するのか、妻を呼ぶ方法はどうする。訪問看護師が次に訪問するまでの間、何か心配なことはないか質問し、不安をすべて解消する助言をする。在宅で家族ができる方法で説明指導するのでわかりやすい。
家族が言った。「病院の看護師さんと家での看護師さんがつながっている感じです。」
そう、繋がっているのだ。繋がっている安心は患者家族にとって、とても大きい。