samansa59’s blog

訪問看護の仕事の中で感じたことなど自由に書いていきます。

月日の流れ

93才。女性。息子夫婦は母屋に住んでおり、廊下続きの離れに本人一人暮らし。

20年前・73才に大腸がんにてストマ造設。その後、自分でストマ管理していた。

今年、虚血性腸炎、総胆管結石で入院。退院後より、訪問看護の依頼があった。

初回訪問。10年以上まえのストマ物品が手つかずでおいてある。部屋のいたるところに汚れたあとがある。「うんこをそこらじゅうに落として歩いています」と家族が言われる。介護者はお嫁さん。脳梗塞片麻痺であった。

高齢で、ストマ口を閉め忘れているのか? 

そうではない。実際、便を受けるための面板とパウチのストマ用装具を貼っていなかったのだ。ストマにテイッシュを当てて、パンツで押さえているだけだったため、不随意に出る便が、テイッシュで押さえられるわけでもなく、部屋中に落ちていたのだ。

何年もそのような状況だったと・・・

お嫁さんたちと食事は一緒にしているため、臭わなかったか聞いてみた。

「プライドが高い人だから、手助けを一切させてもらえなかった」

内服薬も、服用されずごっそり残っていた。

73才のときは、自分ですべて管理できていたと思う。しかし、20年の歳月が管理能力を低下させていた。また、介護するお嫁さん自身が脳梗塞となり、片麻痺となったため、介護できる範囲も限られてきた。

イージークローズ排出口の取り扱いが理解できるか?最初は輪ゴムで縛っていることもあったが、何回か説明を繰り返し、手技を習得された。

嫌がっていたデイサービスも、入浴後にデイの看護師さんがストマ交換して下さることで了承された。

患者さんも歳をとる。体力気力も落ちてくる。認知能力も低下する。

しかし、プライドだけは維持される。自分のことは自分でやるスタンス、ベッドサイドに積まれた政治や経済など難しい本の数々をみると、自律した生活を望んでいるのであろうかと推測される。

本人の大切にしていることを尊重しながら、できない部分だけ支援する。

月日の流れの中で、支援内容も変わるのである。