家政婦
介護保険制度が始まって、家政婦の仕事はだいぶ減った。しかし、まだ家政婦で働いている人も多い。
その家政婦さんは81歳。きちんとお化粧をして、吸引、胃瘻処置、排便処理、清拭など手際よくこなされていた。しかし、患者さんは夜間せん妄があり、寝るれない日が続いていたが、連続4日の勤務をこなしていた。
家政婦さんには、糖尿病の持病があった。時々眩暈もみられた。「一度、精査されてはどうですか?」「代わりの家政婦さんがいないのよ」
ある日、眩暈から転倒しあばら骨にひびが入り、休業となった。
急なことで、新しい家政婦さんがみえたが、いままできちんと仕事をこなしていたその家政婦さんに匹敵する方が見つからず、何人も何人も交代した。いずれの方も高齢であった。最後にみえた方は85歳の家政婦さんだった。年齢から考えても、泊まりのある仕事はきびしい。
骨折もそこそこ良くなり、81歳の家政婦さん復帰した。
「もう大丈夫ですか?」「まだ少し痛いけどね・・・HbAicも7.6あるって・・・」
このまま 仕事が始まり、また無理をすれば 糖尿病合併症で家政婦さん自体が介護される日も遠からずではないか・・・
「どうか、お体だけはお大事にして下さいね」
「働けるうちは、働きたいのよ」
こんな家政婦さんを 必要としている人も、多く存在するのである。