samansa59’s blog

訪問看護の仕事の中で感じたことなど自由に書いていきます。

心の支え

夫婦ともに70才前半。夫は大腸癌、妻は子宮がんを患っていた。夫のストマ交換に週2回訪問している。訪問すると、大抵妻は 奥の居室で横になっている。

「食事はどうされていますか?」「おれが、近くのスーパーへ自転車で買いに行っている」「でも、座るとおしりが痛くて大変と仰ってみえましたよね?」「おれが買い物行けなきゃ、餓死するまでだ」「入浴はできていますか?」「できてる!できてる!」「介護保険申請して、ヘルパーさん頼みましょうか?」「人の世話になりたくない。まだできる!」そう言われているが、室内は散乱し、台所は洗いものがたまっている。浴室も入浴した気配がない。薬の飲み忘れも多く、特にオピオイドがきちんと服用できていなかったので、服薬管理もすることにした。妻の様子も気になり、顔を覗いてみると、かなり具合が悪いようである。妻も内服がほとんど飲めていない。「次回の受診はいつですか?」「1か月先」「明日にでも一度受診した方がいいですよ。」「じゃあ、診てもらうわ」結局入院となった。

70才前半。60才代を元気に過ごされ、60才代後半で見つかった病。それも夫婦二人ともに発症した。こんなはずではなかったと思う気持ちに反して、進行する病気。心と体のアンバランス。気力、体力が落ちていく自分を認めたくない思いが先行し、看護師に強がってみせる。

本人の気持ちを尊重して、週2回見守ることにする。しかし、観察は十分行い、介入すべき時期は逃さないことが肝要である。

「いつでも、私達がいます!何かあったら相談して下さいね」「わかってる。ありがとう」 

「妻の受診、看護師さんに言ってもらって良かった。入院短期間で済みそうだ。おれのいう事聞かないから、あいつは・・・」

自分たちの事をわかってくれている人がいる、いざとなったら手を差し伸べてくれる人がいることは、心の大きな支えとなる。患者さんとその家族を含め、支えることができるのが訪問看護だと感じる。