看護師免許
「受験番号2○△番、合格しました」
元気な声でステーションに入ってきた彼女。ステーション全員で祝福した。
彼女は50代後半の医院の准看護師である。
准看学校卒業して、医院へ就職して以来38年勤務していた。
私がこのステーションに就職して以降、いろいろ協働して仕事をしてきた。
病棟経験のない彼女は、医療行為や医療処置にとても興味があり
わからないことは臆することなく質問してきたので、できるだけわかりやすく
説明した。共同研究も一緒にするなか、「看護師免許とってみたら?」との
私の問いかけに「頑張ってみようかな・・・」
しばらく一緒に仕事をする機会がなく、久しぶりに会った時「私、今学校に通っている。通信だけど・・・台所で勉強していると、いつの間にか眠ってしまうけど・・・でも頑張る」と屈託のない笑顔で言った。
彼女は通信学校の卒業式で答辞を読んだのである。その答辞をステーションのみんなの前でも
読み上げてくれた。50才後半という年齢での勉強は大変だったと思う。でもその答辞の内容には、さまざまな方々への感謝の気持ちであふれていた。ステーションのスタッフ皆、涙した。
彼女の顔にはやり遂げた達成感と国家資格をとった誇りとが入り混じり、とても輝いていた。そのパワーに、私の心も満たされた。
準備していた花束を渡した。メッセージカードに「合格おめでとう」と書いていた。
彼女は「もしも不合格ならどうしようと思ったの?」「絶対、合格すると思ったよ」
小さな嵐が去ったあと、暖かい気持ちに満たされた。