訪問看護の仕事
「丁寧で心のこもった看護に感謝する。ありがとう。病院の看護師とは雲泥の差だ」
肺がん末期。病院ではつらい治療の毎日だった。
在宅での看取りを希望して、家族が奔走し、訪問看護ステーションに依頼がきた。
あまり残された時間がないので、在宅医を早急に決め退院した。
下肢の浮腫があり、「足がだるくてしかたがない」というので、ベビーオイルを使って
下肢のマッサージを丁寧に行った。「なんて気持ちがいいんだ」
自分も病院勤務していたからわかる。病院は治療する所であり、検査や点滴、入退院患者の対応で忙しい。患者さんにたっぷり1時間ケアするなんてことはできない。
訪問看護は患者さんの自宅に看護師が出向いていく。患者さんは自分の居場所の中では落ち着いて、穏やかにいられる。ゆっくり患者さんの話も聴くことができるし、たっぷり時間をかけたケアに、患者さんも満足される。
病院の看護師と訪問看護師とでは役割が違う。でも、きっと患者さんはそこに「本当に心がこもっているか」の有無を見出したのであろう。
患者さんが永眠されたあと、お参りに出かけた。
「立派な御写真ですね」
「生前から、死んだらこの写真を遺影にするよう言われていたんです。看護師さん、本当にありがとうございました。主人も私たちも満足いく最期でした。主人、訪問看護師さんには本当に感謝していましたよ」
患者さんも家族も満足する看取り。
これが、訪問看護の仕事である。