samansa59’s blog

訪問看護の仕事の中で感じたことなど自由に書いていきます。

2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

日本男児

その患者さんは、戦争中にゼロ戦に乗っていた。あと数日終戦が遅かったら、今の自分はなかったと言う。胃癌で寝たきり状態であった。 86才の妻は認知症が進行し、さっき行っていたことも忘れ、何度も何度も同じ質問を繰り返す。「看護師さん、私薬飲んだか…

介護者の怪我

80代夫婦二人暮らし。夫は心不全、呼吸不全がありほぼ寝たきり状態。 ASV管理が必要で、週1回訪問看護に伺っていた。 ある朝、妻から電話が入る。「私が転んで怪我したからきてほしい」 訪問看護ステーションへ緊急連絡が入る。 妻は、体重計を移動させよ…

国家資格をとり初めての夜勤で患者さんの死を体験した。 38歳女性子宮がんで逝かれた。幼い子供が泣き叫ぶ中で、私は涙を流していた。 「看護師が泣いてどうするの!仕事にならないでしょう」と先輩看護師から怒鳴られた。その後、どのようにして働いたか記…

経験知

「私のやり方でよかったでしょうか」 看護師は常に自分の看護が正しかったか考える。あの時、こうしておけば良かった、 もっと言葉をかけておけば良かったなどとと振り返る。 「あなたが今持てる力すべて出して一生懸命行った看護は、必ず患者さんに伝わって…

10時30分

「ちょっとそこまで来たから寄った。10時30分になっても誰も来ないから」 その夫の妻は60歳代で膵臓がんで亡くなった。夫の定年後、これから二人で旅行でもしようかと思っていた矢先のことである。 家事をしたことのない夫は、一生懸命介護しながら家…

訪問看護の営業

介護保険制度が開始される時に、訪問看護ステーションを立ち上げた。 その地域ではまったく認知されていない状況のため、病院の看護部長、各階の看護師長、ケアマネジャー、各開業医すべてに挨拶まわりをした。 ある病院では「自分の病院にも訪問看護ステー…

マスク

「患者さんの前でマスクするのは失礼ではないですか?」 「自分の身を守るためよ」 私は、過去2回結核患者と接し、保健所での追跡検査を受けている。 1回目。地域包括支援センターより呼吸不全の患者の訪問看護の依頼があった。 初回訪問時、患者さんがい…

アイート

90才のなった頃より食事が徐々に食べれなくなってきた。家族は高齢でもあるし 自然の状態で看ていきたいと希望した。一時は看取りまで考えた時期もあった。 患者さんは、歯が全くなかったが、話しをすることができた。 一度、アイートを試してみませんか?…

家族の悲嘆

40代子宮がんで長い闘病生活を経て永眠された。 夫は生前「おれがやさしい言葉をかけたら、あいつはだめになってしまう」と言い、 妻に対して「自分で動かないと寝たきりになる」「この痛み止め使ったら、眠気が強くなるから使ったらだめだ」と、ことある…

清拭の値段

介護保険が始まった頃、ケアマネジャーがよく言っていた。 「清拭するなら、ヘルパーさんの方が安い」安い高いの問題? 看護師は患者さんの病態を勘案し、仰臥位で行うか端坐位で行えるか考える。 病態が芳しくない場合はなるべく短時間に最小限の体位変換で…

やり遂げる

80才代男性。胃癌末期。CVポートからの高カロリー輸液での退院であった。 自分に残されている時間が少ないとわかっている患者さんは、人生の最期までにやり遂げることを決めていた。 旧友と大好きな山での再会、200冊ある本の整理、80才になる妻が、まだオー…

医師の性格

訪問看護を始めたことは、開業医の先生に顔を覚えてほしくて、どんなことも各医院やクリニックへ出向いて報告していた。患者さんが多く混んでいる医院には、夕診がすんだ頃を見計らって訪問していた。 いろいろな先生がいる。 暖かくねぎらって下さる先生に…

誇り

全国訪問事業協会から、訪問看護ステーションの管理者に15年以上携わっている人を表彰して下さる便りが届いた。私は、自分へのご褒美と思い、東京で開催される表彰式に参加することにした。 当日集まってきた管理者たちは、数多くの事業を立ち上げたり、功…

弱酸性オムツ

オムツを使用している高齢者は多い。費用がかさむため、どうしても安いオムツを準備する家族も多い。しかし、オムツひとつとっても、いろいろな種類がある。 最近褥瘡学会で弱酸性オムツのパンフレットを頂いた。 健常者の尿は本来弱酸性である。しかし排泄…

腹臥位療法

寝たきりの患者さんは、どうしても廃用性症候群併発しやすい。寝かせきりになっているからだ。私は、そのような患者さんに腹臥位療法を訪問時間内で行っている。本来であれば、1時間以上行った方がいいが、限られた時間内で他のケアも行うため、10分と決めて…

ネイル

その患者さんは、結婚して間もなく喉頭がんがみつかった。抗がん剤治療などおこなったが効果なく、最期を家で迎えたいと退院した。美しい顔立ちは半分病気にむしばまれていた。舌が浮腫み歯で噛んでしまうため出血が続いた。 夫は仕事を休み介護に専念された…

訪問看護を始めた頃

私が訪問看護を始めた時は、まだ介護保険が始まる前であり、1回の利用料は、老人訪問看護利用料250円+交通費250円=500円であった。 訪問入浴は、月に1回程度しか利用できず、ヘルパーも障害など限られた人にしか訪問していなかった。 仕事を始…

心に残る患者さん

40才代、肝臓がん末期で腹水著明、歩行もやっとの状態で退院された。 家では、認知症で記憶障害のある姑、夫の3人暮らし。控えめで礼儀正しい患者さんであった。痛みをがまんする傾向にあったため、ペインスケール評価や夜間の睡眠状況、日常生活えの影響な…

在宅を整えるとは

80才代 脳梗塞でほぼ寝たきり、老老介護で妻も高齢であるため、ケアマネジャーは介護負担の軽減のため、週5日のデイサービスを導入した。 しかし、入退院を繰り返し少しも安定した状態を維持できなかった。 病院MSWから訪問看護の依頼があった。 誤嚥性肺炎…

四季の介護

めっきり寒くなってきた。 日本の四季は本来、それぞれの時期風情があって美しいと思う。 しかし、在宅看護にとってはなかなか苦労が多い。 夏の時期は、クーラーを使って熱中症にならないうように、水分摂取を促しても 「飲みたくない」「トイレが近くなる…

退院時共同指導

入院中の患者さんが退院し、在宅で訪問看護が必要時は、退院前に「退院時共同指導」として、病院に医師・在宅医師・病棟看護師・訪問看護師・ケアマネジャーなどが出向き、会議が開催される。 これが、その病院のMSWや退院調整看護師のスキルによって、実り…

看護師の責任

訪問看護の仕事を望み、入職するが短期間で辞めていく。短い人では3日で終わる。 たった3日で何がわかるのか?その看護師にとって、訪問看護の仕事は何だったのか? 辞めていく看護師が言う。「こんなに責任のある仕事と思わなかった」 看護師の専門職として…

満足な最期

ケアマネジャーから在宅での看取りをしたい患者さんがいると相談があった。肺がん末期、癌性疼痛が強く、呼吸苦も強かったので、看取りを考慮して癌性疼痛管理に強い医師を紹介。病院主治医と在宅医の連携のもと、在宅へ戻った。ご家族は、とても献身的に介…

家族指導

病院から退院して家に戻る場合、家でも医療処置が必要な方には訪問看護が入り、病院と同じように医療処置を家で行っていくことになる。 退院前に病院で医師・看護師・訪問看護師・ケアマネジャーなどが集まりカンファレンスが開催される。病棟看護師は「息子…