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samansa59’s blog

訪問看護の仕事の中で感じたことなど自由に書いていきます。

夫婦の機微

80才男性、肝臓がん末期。病院から訪問看護の依頼を受け、カンファレンスのため訪院する。

担当看護師からは「夫婦仲が悪いので在宅での看取りは無理だと思います。」

在宅に戻って、その言葉の意味が理解できた。

「動ないと歩けなくなるからトイレぐらい歩いて」「この人何も言わないから、わからない」「えー、私がオムツ替えるの?嫌だ」

パジャマに嘔吐の痕跡があるが、乾いてカピカピになっている。

「気持ちが悪くて、吐かれたのは何時頃でしたか?」造り笑いをして答えない。

「ほら見て下さい。この人はこういう人なんです。私が、一生懸命やってあげたって、感謝のことばひとつないんです」

夫婦の長い歴史の中で何があったかはわからない。夫婦になった時点から、自分のことは何も言わなくてもわかって当然、家事はやって当然、何を言われても耐えるのが妻の役目・・・お互いをお互いが尊重し合う関係ではなく、一人が犠牲となり相手に尽くす。そこに、感謝の言葉かけ一つなければ、人として自分の存在価値を見いだせなくなるだろう。その相手が、病気に伏しているからといって、献身的に介護ができないのが当然でもある。

看護師が二人の間を取り持ちながらケアしていく。

腹水貯留が顕著となり、近い将来入院になるだろう。

それでも、本人は「家はいいなあ」と言われるのである。

夫婦間の機微は、少ししか関わっていない私達には、はかりしれない。