自己責任
70代女性、長年の喫煙が原因でCOPD発症。少し動くとSpO2値80%まで低下する。
日常生活、常時酸素吸入が必要であった。
元美容師のその方は、とてもおしゃれで、他人の目を気にされるため、外出の時こそ
酸素が必要なのに、あえて使用せず外出していた。
ある日、大阪の妹さんの所まで新幹線で出かけると聞いた。
「携帯酸素と、滞在する妹さんの自宅に酸素の器械手配しますね」と説明すると
「酸素なんていらない。今までも酸素なしで外出していたから」
「でも、もしもの時に酸素がないと大変ですよ」「大阪でなんとかするからいい」
看護師のいう事に対して、聴く耳をもっていなかった。
旅行の当日、新幹線ホームに行くために、階段を上ったところで意識が遠のき倒れた。あいにく、怪我はなかったが、旅行は中止となった。
「やっぱり、看護師さんが言った通り、酸素がないとだめね」とケロッと言った。
看護師は、予測を立てて緊急事態が起きないように、日ごろの生活を整える。
しかしこの方のように、事態を経験しないと 理解できない患者さんも多い。
看護師は病状、今後起こりうる事態など含め、先を見越した調整と患者説明を行うが、実践するかしないかは患者自身の自己選択であり、自己責任である。
認知症がなく、自己判断できる能力のある人は、自分自身の行動に対しては「責任」を持つことは、当然のことである。
ただ、他人に迷惑のかかることはしないでほしいと願う。