生きた証し
寒くなって、最近多くの患者さんが亡くなっていく。
ご家族は「もっと看てあげればよかった」と涙する。看取りは、どんなに精魂こめて介護したとしても、残された家族には悔いが残る。思いが深いほど、悔いが残るような気がする。「こんなに一生懸命、暖かい介護をされて、幸せだったと思いますよ。○○さんらしい最期でしたね」
あらためて訪問看護師に言われたことで、ご家族は救われると言われる。
涙を流しながらも、「本当にお世話になりました。看護師さんが清拭して下さったあと、とっても気持ち良かったらしく、コーラを1杯おいしそうに飲みほしたんです。その夜、私と娘が見守る中、本当に静かに・・・息が止まったことがわからないくらいに息を引き取ったんです。」
訪問看護師との患者さんの関わりを思い出しながら、最期には笑顔になる。悲しみの中に、しっかり看取った満足がある。
遺影は、旅行に行った時の帽子をかぶり、とびっきりの笑顔の写真。そこに、この患者さんが「生きた証し」があった。
こんなふうに、患者さんご家族と共に過ごした最期に時を一緒に振り返り、思いを共有できるのも訪問看護の魅力である。